Why Return?
7年前の2019年、私はユーラシア大陸を横断する長期旅行に出ました。
旅の終盤、フィレンツェからローマへ向かう長距離バスの中で、私は家族のためにこれまでiPhoneで撮影した写真を、ふと見返してみようと思いたちました。
そして、それらの写真をみてわたしは愕然とました。
「なんて卑怯な写真ばかりだろう・・・。」
人との距離を保ったまま、一丁前に構図ばかりを気にして写真を撮る。被写体に近づくこともなく、自分が傷つけられるような状況を避けながらシャッターを切る。そんな写真ばかりでした。
このままでは、私は卑怯者のまま旅を終えてしまう。そう思いました。
いつか必ずどこかでカメラを手に入れ、本気で写真と向き合ってみよう。人を撮るなら、自分もまた傷つく覚悟を持とう。
そんな決意を胸に、私はスペインのフィニステレを最終目的地としてユーラシア大陸横断の旅を終えました。
その後、資金に余裕のなかった私は、バンコクのジャンク市場で古いフィルムカメラとレンズを購入します。価格は合わせて約12,000円。
それが私にとって、人生で初めてのカメラでした。
そして私は再びインドへ向かいました。
初めてのカメラを手に、約2ヶ月間インド各地を巡りながら撮影に没頭しました。
あれから7年。
帰国後、私はしばらく写真を撮ることはありませんでした。もともと、写真そのものに興味があってインドを撮っていたわけではなかったからです。
しかし、2年前にハノイを訪れることが決まったとき、ふと、あの頃のように写真を撮ろうと思いたちました。
なぜ、再び撮りたくなったのだろう。
ハノイから帰国した後、私は2019年に撮影した写真と、ハノイで撮影した写真を見比べました。
そこでようやく、その理由に気づいたのです。
「僕は、まだ撮りきれていなかった。」
限られたフィルムと時間では、あの旅で出会った風景や人々を十分に残すことはできませんでした。写真を始めたのが、少し遅すぎたのです。
あの日に残した未練に区切りをつけたい。そして、一人の記録者となり、もう一度アジアを歩きたい。そんな思いからこの旅を決意しました。
このページでは、現在構想している撮影プロジェクトの一部をご紹介しています。まだ構想段階のものばかりですが、こうした活動に興味を持っていただけることがあれば、これ以上の幸せはございません。